愚者の基本情報
「夢見がちな、魔法使いの弟子」
愚者のメインキーワードは「自由」です。これは「何にもなれる自由」、ここからが新しい始まりだということを示唆しています。自由には責任がつきものですが、このカードでは無責任に旅を楽しんでいる若者が描かれています。初心に戻って探求したいという欲求も表しています。愚者はどんな状況でも物事は丸く収まるものと楽観的に考えていますが、彼自体に現実をうまく切り抜ける力はまだ身についていないでしょう。無責任さや未成熟さも表していますが、旅を通して愚者は精神的に成長していくのです。
プラスのキーワード
マイナスのキーワード
愚者の正位置の意味
正位置で出た場合は、自由を謳歌する愚者の良い面が強調されます。リスクが大きなことでも楽観的な態度で乗り切ることが出来るでしょう。根拠のない自信を持ってゴーイングマイウェイ!
愚者の逆位置の意味
逆位置ではカードが持つ無責任さや未熟さが目立ってしまいます。あなたの準備不足が露呈してしまうかも知れません。自由には大きな責任が付きまとうことを自覚した方がいいでしょう。衝動的な行動も控えてください。
愚者の解釈
テーマ毎に「愚者」を引いたときの解釈についてまとめます。
現在の状況
人の気持ち
仕事
恋愛
アドバイス
愚者に関するデータ
愚者は元々は番号がありませんでしたが、現代版のタロットデッキでは0の番号がついています。
愚者と占星術
風のエレメント(現代版タロットデッキの中には惑星を天王星とするものもある)
風のエレメントが意味するものは、新しさや自由などです。捉えることが出来ない風のように愚者は自由な存在です。起承転結で言えば、「転」を担っています。膠着した状態に動きを生み出すイメージですね。全てを捨て去って新しい旅を楽しむ愚者のカードにピッタリではないでしょうか。
また天王星という星は「変革」の星です。大アルカナの21番目「世界」は占星術では土星と繋がっています。そして、この土星は占星術の世界では制限や限界を表すものなのですが、天王星はその土星が定めた制限や限界を超えていく存在という意味があります。愚者が天王星とリンクされているのも、完全や完成を意味する「世界」の次に来るカードだからでしょう。天王星は土星が作ってきた構造や仕組みを壊したり、新しい概念や価値観といった人々の意識を作っていきます。
愚者と数秘術
4(4皇帝)=1+3(13死)=2+2(愚者)※大アルカナが循環すると考えると愚者は22番目のカードとも考えられるため。
数秘術の4は構造、安定性、秩序、論理、基礎、明示、解決すべき問題、耐える力といった象徴的な意味を持っています。
0は形のない純粋な可能性を表しています。
愚者と神話/元型(アーキタイプ)
愚者の絵柄の解釈
背景
愚者の背景色は黄色です。
黄色に惹かれる時は、黄色の持つ「明るく」「オープン」なムードにシンパシーを感じている時かもしれません。黄色は「太陽」の色です。空の中央で「堂々と自分の光を放出」する太陽のような「解放的」で「独立した」色なので、「自己の放出(自己主張)」すべき時にサポートしてくれます。また黄色の「光」は「知性」「知識」も意味します。黄色は「知識を探求する」「好奇心を満たす」ことから「喜び」を生み出します。オレンジの「五感刺激」とは異なり、黄色は「精神的刺激」を求める色なのです。黄色に惹かれる時期は何かを「学んだり」「知識を増やしたり」するのに向いています。第3チャクラから言えば、黄色は「個人の意思」を意味します。組織の歯車ではなく「自分と言う個性を発揮する」「自分の生き方を決める」そんな覚悟を問われている時、黄色はサポートしてくれます。
white-tara.comより引用
「解放的」や「個人の尊重」などが愚者のイメージに近いのではないでしょうか?自己主張のサポートをしてくれる色でもあります。愚者は自分に無限の可能性があると信じています。そんな彼の新たな旅立ちは希望の溢れる者の象徴なのでしょう。
黄色は「意志」の色ですが、「過剰に」惹かれてしまうと「個人の意思を貫き、周囲との不調和」を生み出す色でもあります。「個」であるということは「孤独」と背中合わせなのです。
white-tara.comより引用
ネガティブな面の意味では自己主張が過剰になってしまうことによる不調和を象徴しています。愚者は理想家であることも意味しています。自分の理想ばかりを押し付けていてはいずれ孤立無援の状態になってしまいます。
表情と服装
愚者のカードに描かれているのは荷物と一輪の白薔薇を手に持った若い旅人です。若さは「未熟さ」を意味しています。斜め上を見ている彼には足元が見えていません。荷物を括り付けたワンドは高く掲げられており、彼の情熱の強さを表しているようです。ちなみに荷物の中にはペンタクルやソード、カップなどの世界を作るために必要なものが入っているとも言われています。ちなみに白薔薇の花ことばには「純粋」というものがあります。彼の汚れのない心を表しています。
服装は身軽そうなものですね。ただ、愚者が来ている服には凝った模様が描かれていて、彼が貧しい身ではないことを意味しているようにも感じます。もしかしたら、彼は高貴な身分なのかも知れません。この時代の貴族階級やそれ以上の人はかなり不自由な立場だったかも知れません。身分を捨ててのルールや決まりからの脱出は、愚者が表す全てを捨てた清々しさに繋がるものがあります。
白い犬と崖
愚者のカードで目を引くのは彼に何かを訴えかけているような白い犬の存在です。愚者の服装が小奇麗なのに対して犬はなんだか薄汚れていますね。この犬は飼い犬ではなく、野良犬なんだと思います。と、すれば身分を捨てた愚者が旅の途中で出会った友人といったところでしょうか?愚者には内面的な魅力に溢れているとも考えられます。
愚者が立っている場所は強い波が打ち付ける崖の上です。そこは一歩足を踏み外せば落ちてしまいそうな不安定な場所です。白い犬は愚者に対して「危ない!」と言っているようです。当の本人は上を向いて、空を見ながら歌っているような雰囲気を持っています。この後彼がどうなるかは分かりませんが、彼が謳歌する自由にはリスクがつきものなのです。
マルセイユ版との比較
ウェイト版とマルセイユ版では基本的に描かれているものは共通していますが、表情によってウェイト版の方が自由を謳歌しているような印象がありますね。それと同時に足場や背景が危険をより強く表現しているようにも感じます。進んでいる方向が違うのも何か意味があるのかも知れませんが右側を未来と考えるならば、マルセイユ版の方がカードの意味に即しているようにも思えます。ウェイト版も左側(過去)には道が続いていない=未来に進むしかないという風にも解釈が出来ますね。
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